帰省のユウウツ 親孝行の弟、情けない私
お盆やお正月になると、実家のある田舎に帰省します。
私の実家には年老いた両親と、独身の弟が住んでいます。古かった実家の建物は数年前に弟が建て替え、正直なところ私にとって「実家」と言うより「弟の家」と言う感覚になってしまいました。
両親は「そんなこと気にしなくていい」と言いますが、1円も支払っていない私にとっては、やっぱり「弟の家」です。
弟の建てた実家はやっぱり「弟の家」
家を建て替える時、私は全くそのことを知らず、ある日両親から「家を建て替えることにした」と連絡を受けました。古い家で地震も心配だと言っていたので「ああ、そうか」と思いました。計画的にお金を貯めている母のことなので、その予算が貯まったのだと思いました。弟がその費用を出すと聞いたのは、家が完成する間近でした。きっと私に気を遣わせないようにと思ったのでしょう。
私にできることは、ほんの小さなことだけ
弟は大手企業に勤め収入も良いです。実家住まいで独身なので貯金もたくさんあったのだと思います。そんな弟がいて、私はとてもラッキーだと思います。両親の老後の心配をしなくても良いのです。
家も新しく建て替え、便利な家電製品も弟が購入し、日々の生活に必要なものも弟が買っています。普段は無愛想で話もしない弟ですが、きちんと両親のことを考えていて、親孝行な弟だと思っています。
それに引き換え、私は自分の生活で精一杯で、両親に何もしてあげることができません。
私にできる事といえば、年に2回、帰省して料理を作ったり一緒に散歩することくらいです。どんな時も「前向きに頑張っている自分」をアピールして、私の先の人生を案じる両親の心配を少しでも少なくすることしかできません。
弟は、本当によくやっています。年老いた両親が少しでも楽に生活できるようにと考えたのでしょう。古かった洗濯機が最新式の良いものに替わっていました。
母が嬉しそうに「◯◯が買ってくれたの。洗濯がすごく楽よ」と言います。よかったね、と言いながら、私は少し自分が情けなくなりました。私に高価な家電製品を買ってあげることはできません。母が好きな「美味しいスイーツ」やお酒が好きな父に「地ビール」を買うくらいで精一杯です。
情けなくても頑張るしかない
帰り際、生活が大変だと知っている両親がそれぞれ「お父さんには内緒」「お母さんには内緒」と言いながら、お金を私の手に握らせるのです。
とても、ありがたいのですが、年金生活の両親にそんなことをさせる自分がとても情けなくなりました。本当だったら私がお小遣いをあげたいのに、と。情けなくてたまりません。
2度も離婚して心配させ、仕事ではビジネスパートナーに裏切られ、今は非正規雇用でギリギリの生活。もうずっと心配ばかりさせています。
両親は、「誰か一緒にいてくれるいい人ができたらいいのにねぇ」と一人で老後を迎える私を案じますが、私がパートナーを得ることはとても難しいでしょう。
だから、仕事を頑張るしかありません。頑張って、両親が生きている間に「もう娘の心配はしなくていい」ようになりたいです。今の私にできることは、そうなるように頑張ることでしょう。
そして、もっとお金を稼げるようになったら、両親が喜ぶ何かをしたい、そう思います。
ああ、あとひとつ。老後、弟に迷惑をかけないようにしなきゃ。