矛盾した社会 医科大学女子減点と「生産性がない」発言から思うこと

雑感

女性たち

東京医科大学が女子の点数を一律減点して、男子の合格者数を増やしていたというニュースを見たときは、驚きを通り越して、情けなさと悲しみが入り混じった、なんとも複雑な気分になってしまいました。優秀な女子を不合格にし、本当なら不合格の男子を合格させていたのか?と。

「女性は結婚・出産で辞めて行くから」と言う理由だそうですが、その前に「女性が結婚・出産後も働ける労働環境を作る努力をしたのか?」と言いたくなります。医師に限らず、未だに「女性は結婚・出産でキャリアを諦めざるを得ない」ケースが多くあります。そして、それとは逆に、仕事を続けるために、結婚や出産を諦める女性もいるのも現実です。

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仕事を選べば「生産性がない」出産を選べば「仕事を干される」

女性は、結婚・出産で「選択」を迫られます。男性は結婚しようが子供が生まれようが「キャリアか家庭か」「キャリアか育児か」という選択肢がそもそも存在しません。男性の人生は殆ど"AND"で付け加えられていきますが、女性の人生は殆どが"OR"です。そして、どちらを選んでも不快な言葉を社会から投げつけられることがあるように感じます。

「結婚・出産で辞めて行く」と理不尽な減点をされて道を閉ざされ、子供を産まなければ「子供を産まないのは生産性がない」などと言われます。一体どうしろと?と思います。

世の男性は、家事も育児も女性に丸投げして「結婚・出産で辞めるから女性はいらない」なんて言うのですから、開いた口が塞がりません。若い世代の男性は積極的に家事・育児に参加する人もいるようですが、まだまだ「家事と育児は女の仕事」と言う化石みたいな思考回路の男性が圧倒的に多いように感じます。最近は、女性に「家事も、育児もヨロシク」と言うだけでなく「稼いできて」とまで言うのですから、女性の負担は増える一方です。

稼げて、家事も育児もできるなら男なんていらないじゃない、と言いたくなります。

女性の活躍=管理職を増やすこと なのか?

政府は「女性の活躍」「女性が輝く社会」などと言っていますが、どれも口先だけで本気で取り組んでいるようには思えません。やる気、ないよね?と思ってしまいます。私は、政府が考える「女性の活躍」や「女性が輝く社会」はごく限られた世界で語られているように感じてなりません。

「女性の活躍」を取り上げる時、そのケースとして紹介されるのは、大企業の女性役員や女性管理職、女性起業家など、いわゆる「誰が見ても成功している人」ばかりで、それが「女性の躍進・女性が輝く社会」であるかのように扱っています。

果たして、それだけが「女性が輝ける社会」でしょうか?

私は、女性が既婚・未婚に関わらず、自分を生かせる職場で能力を発揮できることだと思います。雇用形態(正規雇用・非正規雇用)や職種、年齢や婚姻状態、子供の有無で差別されず、等しく機会を与えられ評価されることです。役員や管理職、いわゆる「誰が見てもわかる素晴らしいキャリア」を積んでいなくても、自分の持っている能力を生かして、充実感や誇りを持って仕事ができることです。

政府や行政は、女性の管理力の割合を気にしていたりしますが、女性管理職や女性政治家の比率を上げることが「女性が輝く社会」でしょうか?確かに、日本は他の先進国に比べて女性管理職や女性政治家の比率が低いです。けれど、世の中の女性全てが、管理職になりたいわけではありません。家族や子供との時間を大切にしながら、好きな仕事をきちんと続けたいと思う方も多いでしょう。

どうにも、政府や行政の考え方は、現実とズレているように感じてなりません。

女性が理不尽な理由で仕事に就けなかったり、差別を受けることがない社会が「女性が輝ける社会」と言えるのではないでしょうか?

女性が働きやすい職場 シングルには肩身が狭い

結婚・出産を経て働く女性を支援する企業も増えていたりして、それはとても良いことだと思います。けれど、シングルの私が感じることは、「女性が働きやすい、活躍できる職場」は中高年のシングル女性には多くの場合「肩身が狭く・働きづらい」と言うことです。
一定の年齢をすぎると、女性は夫や子供がいるのが当たり前な世の中ですが、そうでない女性もいます。

経営者や役員レベルの女性なら、また違うのかもしれませんが、「ごく普通の働く女性」の場合「シングルである」と言うだけで、職場で嫌な思いをしたり、不公平な扱いを受けることもあります。

シフト制の仕事では、休暇の優先度が「子供のいる人 > 既婚者 >>>> シングル」と言う職場も存在します。また別の職場では、産休・育休・時短中のメンバーの仕事が「シングルの人は余裕があるでしょ?」と独身者だけに負担がきた例もあります。

女性が結婚・出産しても働き続けるには、周りの理解や助けが必要です。けれど、それが不公平な事態を招いてしまってはいけません。職場の全ての女性が、育休や時短勤務をするなら「お互い様」が成り立ちますが、シングルで子供もいない女性には負担ばかりで、仕事を断ったりすれば「子供のいない人は分からない」とか「だから結婚できなかった」なんて言われることもあります。

それとは逆に、育休や産休を取った本人が周囲の視線にいたたまれなくなって辞めざるを得ないケースもあるでしょう。休業・時短勤務をしているご本人の態度に問題があるケースもありますが、大抵は、会社側のマネジメントの問題であると思います。

今の社会は、様々なライフスタイルが存在します。大多数は「普通」の家族世帯ですが、多くのマイノリティなケースがあります。それは、女性の働き方に関する問題とあわせて、考え、解決していかなければならないことではないでしょうか?

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Posted by Hana