シングルは人にあらず 公営住宅に申し込めない理由は「シングル」だから
生活費の大きな比率を占める家賃。離婚後、公営住宅に申し込めないかと、公営住宅の窓口に相談に行ったことがあります。当時の私の収入は、問題なく申し込める金額でした。
けれど、窓口ではほぼ「門前払い」、理由は「家族のいないシングル」だからです。
単身者だけに課せられる条件
公営住宅の申し込み基準は自治体によって違いますが、私の知る限りの自治体は60歳未満の「シングル」は特定の条件を満たさない限り申し込めません。
どこの自治体もほぼ同じで、こんな内容です。
- 申込日現在で満60歳以上の方
- 身体障害者手帳所持者で、その程度が1級から4級の方
- 精神障害者保健福祉手帳所持者で、その程度が1級から3級の方
- 愛護手帳所持者で、その程度が1度から4度の方
- 難病により、障害福祉サービス、地域相談支援、特定医療費のいずれかを受給している方
- 戦傷病者手帳所持者で、その程度が恩給法の特別項症から第6項症および第1款症の方
- 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律第11条第1項の規定による厚生労働大臣の認定を受けている方
- 生活保護法の規定により保護を受けている方
- 海外からの引揚者で、引揚後5年を経過していない方
- ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律第2条の規定によるハンセン病療養所入所者等の方
- DV(配偶者からの暴力)被害者で、県女性相談センター等で保護を受けた後5年を経過していない方、または、裁判所で保護命令を受けた被害者で、保護命令の決定から5年を経過していない方
- 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律の規定により支援給付を受けている方
同居する家族（婚約者、内縁関係含む）がいれば、これらの条件は課せられません。なぜ、シングルだけにこんな条件が課せられるのでしょうか？
仕事ができる年齢のシングルが「生活が苦しい」のは怠けているからであって、自業自得だとでも言うのでしょうか？窓口の職員はこうも言いました。
単身者の方はたとえ収入がゼロでも申し込みできません
収入ゼロなら申し込めないのは当たり前ですが、彼女が言わんとすることは
とにかくシングルはどんなに生活が苦しくても申し込みできない
と言うことです。
シングルは高めの税金を払ってください、でも助けません
シングルは、生活に困窮しても助ける必要がないと言うことなのでしょうか？今まで、税金だけはしっかりとられ、「○○手当」や減税などの恩恵は受けられないのに、困った時に行政は「シングル」を理由に無視するのです。
なぜ、単身者が公営住宅に申し込めないのか納得できる理由が欲しいものです。
私が門前払いを受ける横で、外国人が公営住宅の申し込みをしているのです。日本国籍を持たない外国人が申し込めるのに、今まで真面目に働いて税金を払ってきたシングルの日本人が、なぜ「シングル」を理由に申し込めないのでしょう？
行政の考え方は、「シングルは家族がいないのだから、何とかできる」からなのかも知れませんが、子供のいない専業主婦家庭の方がよっぽど何とかなるのではないかと思います。公営住宅に住んで専業主婦がDIYに勤しんでいる記事などを見ると複雑な気分になります。苦しい思いをして払っている税金が、そこにも使われているのです。
シングルは人にあらず
シングルはひとりです。専業主婦家庭なら妻がパートをして家計を助けることも出来るでしょうが、シングルの「限界」は本当に「限界」です。それを行政は、理解もしていないしする気もないのです。
それは、低収入の中高年が少数派だからかも知れません。
私にはそんな行政が「低収入の中高年シングルは人にあらず」と言っているように感じます。
公営住宅に住んでいる人には、「専業主婦でいたいから、公営住宅でも我慢する」と言う人や、収入をごまかし続けて住んでいる人もいるようです。サラリーマンではごまかせませんが、自分で確定申告を行う自営業ならそれも可能でしょう。そもそも、彼らには交通網が整った都会で車を所有する余裕があるのです。ベランダには衛星放送を受信するためのアンテナがついています。外国人が、どう考えても「ズルいやり方」で入居しているケースも実際知っています。
低収入のシングルが、みんな怠けているわけではありません。「ワーキングプア」は怠けているからそうなるのではありません。殆どの人は仕事を掛け持ちしたりして一生懸命働いて、それでも生活が苦しいのです。
なんとか、今の生活から抜け出そうと、頑張っているのです。
行政も、少しはそんな状況にあるシングルのことも考えて欲しいと思います。