国際結婚から国際離婚(3) 泣きながら渡った歩道橋

離婚ストーリー


さて、離婚を言い出したのは夫で、それを強行したのも夫です。
けれど、彼は自分の引っ越し先を探す以外、何もしません。夫が希望したのに、離婚届を役所に取りにいくのも、それに記入して手続きに行くのも私でした。

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離婚の光と影

離婚届を受け取りにいった時、私は役所の窓口で泣きたいのを必死で我慢しなければなりませんでした。役所を出て道を渡るために歩道橋に上りました。私は歩道橋を歩きながら、涙を止める事が出来ず人目も構わず、ぐずぐず泣いていたのを、今も忘れる事が出来ません。とても美しい夕焼けが見えていました。
私はそのまま車道に飛び降りてしまおうとさえ思いましたが、そうしなかったのは、両親が健在だったからです。愛する者を失う辛さを、年老いた両親に経験させるわけにはいきません。

そして、引っ越したくないのに、引っ越し先も探さなければなりませんでした。一人で住むには広すぎるし、家賃も高すぎました。したくない離婚をして一人で暮らす部屋を探すのは、本当に苦しい作業でした。どの物件を見に行っても気分が沈むだけで、なかなか決める事が出来ませんでした。

全てを持ち去った元夫

そんな私に比べ、夫は楽しげに部屋を探して決め、新しい家具を買い、それをいちいち私に報告し、自慢するのです。果ては、引っ越し業者の手配を私に頼んできましたが、疲れきっていた私は「ネットで検索すれば?」と言うのが精一杯でした。
夫は不満げでしたが、会社の同僚に頼んで手配してもらったようです。

そうして、夫は離婚届にサインしてハンコを押すと、スーツケースを持ち「○日に引っ越し業者が来るから、これを送らせて」と段ボールを残して、出て行きました。
自分が欲しいものだけ持って、いらないものは置いていくつもりのようです。つまり、私に処分しろと言うことですが、この時の私は、それに文句を言う気力も何も残っていませんでした。
彼は、「私たち」の事は何もせず、自分の事だけをして、残りは全て私に押し付け、出て行きました。

彼は、そうやって私の人生を壊して、去っていったのです。

元夫の望みで仕事を減らしたおかげで、私の収入は減り、1人で生活するにはギリギリの収入です。
友人達は「慰謝料もらいなさい!」と言いましたが、そもそも話し合いも出来なかったのです。1度だけ「慰謝料」と言う言葉を出した事はありますが、夫はそれを拒否しました。「支払う理由がないし、払うつもりもない」と。
私は友人達に「慰謝料どころか、お金もってかれちゃって〜、アハハ〜」と強がるしかありませんでした。

悪い事は重なるもので、その当時契約していたメインのクライアントから「経営不振」を理由に突然契約を切られたのです。もう、笑うしかありません。
引っ越しを済ませたばかりの私は、昔なじみの仕事仲間に、仕事をさせてもらえないかと頼みに行かなければなりませんでした。運良くそこで仕事ができる事になったので、なんとか生活していける目処が立ちました。

今の私には、あの最悪な時期、仕事をくれたり、助けてくれる人もいて、恵まれていたのだと思えますが、当時の私は、「絶望的」な気分でした。

真っ暗なトンネルの始まり

そして、引っ越して1ヶ月ほど経ったころ、その闇は私を飲み込みました。それは真っ暗なトンネルの中にいるような気分でした。不安や寂しさ、怒りや絶望感、何時間も泣き続け、世界がモノクロに見えました。何を食べても味を感じず、砂を噛むようでした。
夜、医師から処方された入眠剤を飲んで眠るとき「このまま目覚めなきゃいいのに」と思い、朝起きれば「なぜ、目が覚めてしまったんだろう」と思いました。それでも、むりやり食事をし、「抗鬱薬」を医師から指示された通りに飲んで仕事に出かけていました。
仕事に行かなければ、生活が出来なくなるからです。「死にたい」と思いながらそんな事を考えているのは、おかしな事ですが、きっとそんな思いがあったから、私は生きていられたのだと思います。

暗いトンネルの中で、もがき苦しんでいたあの頃。とても苦しく辛かったですがそこから得られたものもあると思います。自分が苦しみを体験した事で、誰かの苦しみを理解しその気持ちに寄り添う事が出来ます。
それまでだったら、「離婚?まあ、すっきりしてよかったんじゃない」などと言っていたと思います。私にとって「離婚」は苦しみではなかったからです。離婚で辛いと言う話を聞いても「すぐに立ち直れるよ」と思いましたが、今はそんな風には思えません。

離婚のシチュエーションは色々です。元夫のように「離婚が自由と喜び」の人もいるでしょうし、私の1度目の離婚のように「すっきりした気分」の場合もあるでしょう。そして、「身を裂かれるような苦しみ」になる場合もあります。私は、その両方を経験しました。

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2017年9月4日離婚,国際結婚,国際離婚

Posted by Hana