終わらない講師の憂鬱 「人権侵害で訴えてやる」事件

その時私は30代だった

30代の頃にやっていた「職業訓練校」の講師。私は3つの学校で5年以上教えていたように思います。困った受講生にうんざりしながらも続けていた理由は、やっぱり「生活がかかっているから」でした。当時は、フリーランスで仕事をする以外は、ほぼ講師の仕事をしていました。
職業訓練校以外にも、大学や専門学校、企業など、色々な場所で教えていました。夜中まで自分の仕事をして、昼間は講師として出張までこなしていたのは「うーん、やっぱり30代は体力あったなぁ」と思います。

スポンサーリンク

今も終わっていない講師の憂鬱

さて、昔の愚痴を書きなぐった「講師の憂鬱」はいくつもあって、それを読んでいると、当時の「困った受講生」のことを思い出します。当時はものすごく怒っていましたが、今読み返すと笑えます。
今も、講師の仕事は続けていて、やっぱり「火を噴くくらい腹が立つ」ことや「どう考えても理不尽」なことは起こります。受講生の前では笑顔で受け流していますが、心の中では、シバいていたりします😅

これも、10年後には笑いのネタになっているかもしれません。

今日は、自己中なおじさんに「人権侵害だ!」と騒がれた時のことを書いた記事を、当時の文章のまま載せてみようと思います。

講師の終わらない憂鬱・2001 Part2by 30代の私

マウスも使えない人たち

講座も半ばに差し掛かると、まったくついて来れない人とそうでない人の差がはっきりとしてくる。最年少は20代半ばから最高齢は61歳。
当然、講座のスピードは文字入力以前にマウス操作のおぼつかない年配の人たちのために、スローペースになってくる。

もともと私の担当しているコースは「中級レベル」でPCの基本操作が出来ることが受講条件となっているはずなのに、どうしたことか電源の入れ方を知らない人、CD-ROMとFDの区別もついていない人がやってくるのである。

文字入力の出来ないたった一人のために10分から15分みんなが待つ、なんてこ事は普通にあるのだ。

覚えられない人たち

「見捨てればいいじゃない」と思うかも知れないが、そうはいかないのがこの講座。
以前も文字入力はおろかドラッグとクリックの区別さえつかないジイさんが受講したことがある。たとえばドラッグするとき「マウスのボタンを押しっぱなしにして、そのままぎゅーっと斜めに移動してください」、「クリックは1回カチッ、ダブルクリックは2回カチカチ、ですよ」と言う説明を何度しても区別が出来ない。毎日教えても、結局最後まで覚えてくれなかったのである。

人権侵害だ!訴えてやる!とのたまったジイさん

講習も10日目くらいに入った頃だった。未だにプログラムメニューからアプリケーションを起動できない彼を「あまり甘やかしてはイカン!」と「○○を起動してください」とだけ言って次に進んだら、彼は「講義のスピードが速すぎる」「先生が悪いから出来ない」「遅い人のスピードにあわせないなんて人権侵害だ!訴えてやる」とのたまったのである。

私の口は、ぱっくり開いたままふさがらない状態になってしまった。

何十回と起動しているアプリケーションが起動できないレベルの人が「自分のレベルに合わせて講義をしろ!だって?」
他の人たちは問題なくできている事を「マウスポインタを画面左下のスタートメニューに合わせて…」ってやれっていうのか?

「オレ様が常識」の超ウルトラ自己中のジイさんのために、社長まで登場してすったもんだ。
理不尽な文句を言いまくるジイさんに、心の中で

「けっ、訴えられるもんなら訴えてみろ!名誉毀損で訴え返してやる!」と私も強気である。

彼は自分のために他の受講生がどれだけ迷惑しているか全く分かっていないのである。

学校側はジイさんの話を聞いたものの、なだめただけで終わり。結局、何の解決もされず、講師同士の話し合いで、アシスタントが1人ジイさんに張り付くと言う事で収まった。
ジイさんは特別扱いで満足げだが、他の受講生は迷惑顔である。
しまいには、「先生も大変ねぇ」と受講生のオバサマに慰められる始末である。

どう考えても就職に向かない人たち

このおじいさんは、当時を知る講師仲間の間では「伝説」レベルの受講生の一人でした。
今も「伝説」レベルの彼らは、仲間の間では話題に上ることがあります。大抵、そのカテゴリーの人たちは「宇宙が自分中心に回っている」レベルの自己中です。
人の話を聞かない、聞けない、思った通りに行かないとキレる、プライドばかりが無駄に高い、などなど。

職業訓練校でしたが、どう考えても、そこには就職には向かない人たちが多く生息していました。
真面目に「新しいスキルを身に付けたい」と思っている若い世代の邪魔をしているのも彼らでした。雇用保険を貰うためだったり、暇つぶしのカルチャースクール気分で受講している彼らに「就職する気」などさらさらありません。「オレは、もう働かない。悠々自適に暮らすんだ」なんて堂々と言っている人もいました。

今は、ティーンエイジャー相手に教えることがほとんどなので、当時のようなストレスはありませんが、また違った「講師の憂鬱」があります。
「教師の暴言」やら「体罰」が、すぐに問題になりますが、「教師に対する暴言」や「教師に対する暴力」はあまり取りざたされないように感じます。10年後くらいに「もう時効」になったら、笑えるネタとしてブログに書けるかもしれません。

スポンサーリンク

仕事,困った人たち,講師の憂鬱

Posted by Hana